野心家の哀歌──コトチカ

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碧伊の言葉には驚いた。 俺は小さい頃から碧伊と一緒に遊んでいたから、性別を気にしたことなんてなかった。 一緒にいると楽しいという気持ちだったから、性別は関係なかったけど、碧伊が周りの奴らから変だと陰で言われるのは、正直いい気分はしない。 幼馴染みよりも兄弟みたいな感じで、お互いに遠慮せずに付き合えるこいつだから、周りの偏見に腹が立ったが、それを逆手に取られて、今じゃクラス公認のホモカップルらしい。 本当にくだらない奴らだ。 「アタシはアタシだと思ってれば平気だもん♪アタシをバカにしてる奴らは、いつか…近い将来、絶対に掌を返してくるわよ♪アタシには分かるんだ♪」 「何でだよ…?超能力でもあんのか?」 「アタシはね、アイドルになるの!最初はネットアイドルから始めて、同じような子達とユニット組んで、女の子よりも可愛いアイドルになる予定だから♪そしたらバカになんてできないでしょ♪」 「それは壮大な計画だな…」 俺は話半分にしか聞いてなかったが、まさか数年後に本当にそうなるとは…。 碧伊が夢を実現させることの大切さを教えてくれたんだなと今なら分かる。 もちろん、この時は信じてなかったけれど。
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