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ジリジリと太陽が地上に容赦なく照り付ける。
砂を孕む熱風が鬱陶しくて、頭から目以外を覆ったターバンを模した形状の布を取りたいが、取ったら取ったで、砂が肌にぶつかることを思うと我慢するしかない。
「《そうだ、ジェイが昨日こっそり差し入れをくれたぞ。チョコレートという甘味だが、栄養補給剤なんだそうだ》」
「《美味しいのかな?僕甘い物は食べたことないなぁ…》」
「《薬だから、そんなに甘いことはないだろう。砂糖も一度しか舐めたことがないが、それくらい甘いとアサドが喜んで一人で食べそうだしな♪》」
「《僕はそこまで子供じゃないよ。もう少しすれば父親になるんだからね》」
「《リラクが母親になるんだもんな。早く終わらせて迎えに行かないとな》」
ジェイが僕らにくれたチョコレートは平べったい板みたいで、簡単に割れてしまう。
僕達は一欠片ずつ食べて、残りは夜に食べることになった。
チョコレートって本当に甘くて美味しい。
あんなに甘くて美味しいものを持ってくるジェイは、きっと凄いお金持ちで甘い食べ物をたくさん買えるんだろう。
甘いチョコレートで気が緩んだのかもしれない。
僕達の後方…遠いけれど、すぐに様子がおかしいことにみんな気付いた。
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