流星の夜明け──レオ

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「《ジェイ…》」 「《私が殺してあげてもいいが、あいにく時間がなくてね。私の手にかかりたいなら、イギリスにきなさい》」 僕の答えを待たずにジェイはさっさと歩き出した。 ジェイの背中を見送っても、僕はどうにもならないことは分かっているんだ。 僕の信仰する宗教はみだりに自害することは禁じられていて、神様が許した時だけ自害は推奨される。 だったら僕はジェイについていくしかない。 それしか道はないなんて、ジェイは卑怯だけど優しすぎるよ…。 「《アサド、今日から日本語を勉強するよ》」 「《日本語?英語より難しい?》」 「《複雑怪奇で慣れるには時間がかかるかもしれないね》」 「《僕に覚えられるかな…》」 ジェイと一緒にイギリスに住み始めて、全く異なる文化に触れて、あまりにも僕達の国は発展していなかったのかと思った。 僕の村が極端に遅れていただけかもしれないけど。 英語は意外と早く覚えられて、一人で買い物をしても不自由はないくらいには喋れるようになった。 ジェイの交易の仕事も少しは手伝えるくらいには、英語は理解できると思っている。 「『私はレオ・エリスです』《これを言ってみて》」
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