流星の夜明け──レオ

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「ワ、ワタシ…レオ・エリス…デス」 「《ダメ!滑らかに言えるまでやり直し。日本語はいかに滑らかに流暢に言えるかが勝負だよ》」 「ワタシハ…レオ・エリス…デス」 「《少しだけよくなったかな?よどみなく言えるといいね》」 「《レオ・エリスって何?人の名前に聞こえるけど…》」 「《それ、キミの新しい名前。レオはアサドと同じ"ライオン"という意味があるから、新しい名前に取り入れてみたんだけどね》」 「《新しい名前?どうしてアサドじゃダメなんだい?》」 僕は今までの名前の方がいいのに…! せっかく母さんが付けてくれた名前なのに! 「《そのままだと目立ちすぎるんだよ。中東に嫌悪感を持つ人も少なくない。私は言ったよ、生きて生き抜けと。キミはもう"レオ・エリス"だ。それ以外の何者でもない》」 「《僕は僕じゃないんだね…。知らないレオになれと言うんだね…》」 レオ・エリスなんて、全然しっくりこない。 全然知らない他人にしか思えない。 生き抜くことを選ぶしかなかった結果は他人になるということ…僕はアサドはいなくなるんだ。 ジェイが手鏡を持って僕の顔を映す。 そこには憔悴した顔の僕が映っている。
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