流星の夜明け──レオ

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「《ここに映っているのは誰だろうね?》」 「《僕でしょう?》」 「《そう、ここに映っているのはキミだね。よく覚えておきなさい、この顔が本当の"レオ・エリス"だと。私はレオ・エリスと仲良くしたいよ》」 「……ワタシはレオ・エリスです」 「《合格。これから日本語をどんどん覚えていってほしい。キミが最終的に亡命する国は日本だからね。私も亡命する手助けはするし、用意は心配しなくていい。日本語だけしっかり勉強してくれれば》」 ジェイの優しい笑顔が"死の武器商人"の時の顔と重なって見えて、僕はその懐かしい記憶も本当の名前も全て心の奥深くに閉まって鍵をかけた。 もう…レオ・エリスとして生きていくんだ。 それ以外の誰になれと言うのか? 僕はレオ・エリス以外の何者でもない。 不意に溢れた涙を強引に拭って、僕はティータイム用に用意された、冷めてしまったミルクティーを喉に流し込んだ。 「《私が支援ができるのはここまでだ。日本は治安はいい方だから、いきなり内戦が始まったりはしない。ただ犯罪はどこにでもあるから、それには気を付けて。キミの幸せなこれからを祈っているよ》」 「《ありがとうジェイ》」
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