初めての音──レイヤ

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MAKOTOの足取りは依然として掴めず、ここまで完璧に痕跡を残さないことができるのかと驚いた。 たぶんMAKOTO一人じゃない、誰か協力者がいるのだろう。 誰にも知られたくないんだろうな。 特に親父と俺には居場所を絶対に知られたくないってことかもしれない。 もう探さない方がいいのかな? お互いに会わない方がつらい思いをしないなら、会いたいなんて思わない方がいい。 俺がいつかテレビに出るようになったら、MAKOTOも見てくれるかもしれない。 俺が頑張っている姿を見て喜んでくれると思うから、とにかくレッスンに打ち込んだ。 そんな時にメンバー入りしたのが、あの気になっていたジュニアアイドルのリョージだった。 「結構前から僕のこと知ってたんだね…」 「うん」 「あ、レイヤさん、さっき小包が届いてましたよ。弓槻さんて方からみたいですよ」 「万琴だ…!」 「万琴さん、いつもレイヤくん宛だけど、僕達全員分を送ってくれるもんね」 「うん…万琴は優しいから。でも今はリョージの方がいい」 「え?僕?」 「だって、リョージは俺専属のお母さんだから」 「……お母さん部分か」
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