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みんなと一緒にキラキラの光を浴びる。
ファンのみんなと共有する時間と一体感が好きだ。
こういう時、本当にアイドルをやっていてよかったと思う。
ファンのみんなの歓声が僕達の元気の源。
その声に応えたいから、僕達はダンスのレッスンもボイストレーニングだって、ずっとやってきたんだ。
いいステージを見せたいってみんな思っているし。
僕もずっとアイドルをやっていきたいと思っていたし、それが当たり前だと思っていた、あの日までは…。
「リョウ、音程ズレすぎ!」
「ご、ごめん…」
最近、声が出にくい感じがする。
歌も高い音に合わせるのが少しつらくなってきた。
無理に出そうとすると、声がひっくり返って音程が狂いまくるし…。
何度も高い部分で躓いてしまって、僕は今回はダンスに専念することになった。
仲間外れになった感じは否めなくて、何だか壁を感じる。
練習後にボイストレーナーに呼ばれて、僕は不安を抱えながらトレーナーのもとへ急ぐ。
「リョウ、もしかして変声期?」
「え…?」
「高い声が出にくいんじゃない?普通に話す時も普段とちょっと違う声も出るとか…」
「そんなこと…」
"ない"とは言えなかった。
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