野心家の哀歌──コトチカ

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放課後に碧伊に不安を打ち明けると、碧伊は満面の笑みでとんでもないことを言った。 「琴周もさ~アイドルになったら?」 「は?今の流れで、アイドルになれっておかしいだろ?」 「だって不安なら、原因からすっごく距離を取るのもアリだと思うんだよね。アイドルになれって言ったのも、琴周はアイドルに向いてると思ったから♪一緒にアイドルユニット組んじゃう?」 「絶対嫌だ」 「あれ?"絶対は有り得ない"んじゃなかったっけ?」 「屁理屈こねるな!」 あぁもう…。 こっちは結構不安でぐらついてるってのに、そんなに軽く流さなくてもいいんじゃないか? 「琴周は今まで期待に応えることが夢だったと思うけど、今は琴周が自分で自由に夢を選べるってようやく気付いたと思うんだよね。でも急に自由に選べるから戸惑ってるんだよ、たぶん」 「そうなのか…?」 「周りの期待よりも自分の好奇心とか気持ちを大事にしてみてもいいんじゃない?だって琴周の人生は琴周のものだよ♪琴周が好きに楽しまないでどうするの?」 俺の人生を俺が好きに楽しむ…。 そんなワガママで贅沢なことをしてもいいんだろうか? ……俺はどうしたい?
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