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扇風機がカラカラとおかしな音を立てて、
ポタポタと流れる汗が白いノートに染みをつくる。
イライラしながら教室を見渡すと、みんな死んだ目をして授業を受けていた。
こりゃだめだ。
持っていたシャーペンを手放し机に突っ伏した。暑くて眠ることもできない中、頭だけを横に向ける。
視線の先の隣人は、今日もまっすぐ前を見ていた。
劣悪な環境で、よくもまあ集中できるな。
そんなことを薄ぼんやりと考えながら、ただじっと観察していると、ふと隣人が笑った。
(笑った?)
目線はそのままだった。
もう一度小さく笑みを浮かべる。
目線の先に、一体何があるんだろうか?
隣人と黒板を繋ぐ目線を辿ると、1人、うつらうつらとしている生徒がいる。
眠気を変に堪えようとするから頭がぐわんぐわんと大きくスイングする。
隣人はその人を見つめ、くすりと愛おしそうな笑みを浮かべていた。
…いつも、黒板を見ているんだとばかり思っていた。
ふふ、と、隣人と同じように笑い、目を閉じた。
青の匂いがする。
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