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そしてまた夜が来た。
アイスマンと廃工場前のベンチで合流して密売人狩りを行う。昨夜の戦いで彼は連中の溜まり場を突き止めたという。
「つー訳で、今日はかつてない激戦?って奴になると思うけどダイジョブ?」
「望む所だよ」
「望むのかよ……」
そうだ、俺は自己証明のために戦っている。だから敵は大きければ大きいほどいい。俺は決して終わらないのだから。
それは、他人から見ればありふれた挫折でしかないのかもしれない。そして俺は現実を受け入れることが出来ずに駄々を捏ねているだけなのだ。分ってるそれが正しい現実だ。
子供の頃、俺は小さくて細いいじめられっ子だった。幼稚園ではよく泣かされて詩織に庇われていた。そのコンプレックスからだろう。強さが欲しかった。
だから少し後に詩織の兄さんを通じて知り合ったボクシングにのめり込んだ。小学生の放課後、学習塾にも通わずにボクシングジムに毎日通った。中学時代、ボクシングしか知らない俺に詩織は付き合ってくれて受験勉強を教えてくれた。彼女と同じ高校に入れたのは一重に彼女のお陰だろう。心底、感謝している。
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