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思わず抱きしめる。 一瞬身体が強張ったが すぐに景は力を抜き 同じように抱き返した。 しばらくそのままでいたが 景は 身体をゆっくり離すと俺が怒っているか 確認するかのように上目遣いで俺を見る。 景の目が潤みながら揺れ 俺はおもわず顔を近づけそっと口を合わした。 景の唇が自分のそれに触れた時 全身が騒めき立った。 拒まない景の口を舌で開かせ 更に強く吸う。 舌を絡ませ上顎をなぞる。 「・・んっ・・ん」 甘い漏れ聞こえる吐息交じりの声に 興奮し おずおずと応え始めた景の舌を 強く吸う。唇を噛み 唾液を飲む。 ずっとこうしていたかった。 全てを喰らい尽くしたい。 激情が体内を駆け巡る。 景の身体から甘い香りが立ち上る。 元を包み込み欲情を煽る。 景の髪をかき混ぜ ゆっくりと首筋から 顎を撫で喉まで指を滑らせる。 「・・っあ・・」 景が小さく喘ぐ。たまらなくなって更に強く 景の舌を吸った。 だが 俺は一旦景を離した。 なんで?と景に問う。なぜ拒まないのかと。 ・・わからない。 そう小さな声で言う景は本当に わからないようだった。 傷つき不安だから? わからないと首を振る。 ただ背中に回る手は 元を欲しがっている。 ぎゅっと抱きつかれ もう理由はどうでも よくなり また口づけた。 欲しくて欲しくて堪らない。 「・・・あんたが欲しい」 景の耳筋に唇を充て 思わず小さく呟く。 景は何も言わず 自分から元の唇に己を 押し当てた。 勿論怪我人だった。 それもかなりの重傷。。 長いキスの後 景は急に脱力して元にコテンと身を預ける。 「景?」 顔を覗き込むと意識を失うように眠っていた。 かなり残念な俺は 一旦天井を見上げため息をつき 景を横たえ布団をかけた。 次はあるのか? 景の可愛らしい鼻をつつき 元も脱力してそのまま眠りについた。 景の温い手を握り 景の匂いに包まれて。
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