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勿論 次など無かった。 入院中見舞いに来た情報屋がケンだ。 自分の渡した情報で景が ズタボロになったと聞き飛んできたのだ。 「景さん 見てて心配になります。」 そう言ってカリカリと自分のこめかみをかいた。 ケンは爽やかで姿からは とても情報屋にはみえない。 だがそのネットワークは界隈一だ。 料金も一流。 柏木組もたまにケンから 情報を買っているので元とも顔見知りだった。 「そんで喫茶店に探偵? 1人じゃ無理だよ」 そう言ってケンは自分を雇い入れる事を 景に提案した。 ケンは最初に依頼があった時 景が遠藤を探している理由と経緯を聞いている。 景はしばらく逡巡していたが やはり1人では無理だと思ったのだろう。 快諾し よろしくと頭を下げた。 大雑把な景が喫茶店経営なんて まずそこで挫折しそうだ。 ケンなら 調理師免許もあるし 長く 水商売で働いていたから 接客もお手の物だ。 情報屋としても一流だし きっと探偵業でも本領発揮するだろう。 ケンはチラリと俺を見て 含んだ目つきでこう言った。 「俺は女の子が大好きなんで大丈夫です」 ん?と景が眉を寄せる。 そしてなんとなく察したのか みるみる景の顔が赤くなる。 俺はここ数年で身につけたポーカーフェイスを 貼り付けたまま 「なんの事だ?」と聞いた。 ケンはクスリと笑い 手を振って帰っていった。 そして余計に景のガードは固くなった。 あの野郎 余計な事言いやがって。。
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