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あの事件からようやく一年が過ぎようとしていた。 景は落ち着きを取り戻し 今年こそ一緒に本家へ帰ろうと思ったが 景は俺を誘わず 代わりに例年通り景を引きずって墓参りにも 行った。 喫茶店と 時々 店に来る客の依頼を受けて 探偵業もやっている。 金を踏み倒して逃げたホストの居場所を 突き止めたり 自分の親がわからない チンピラからの依頼で親を探したり。 自分も遠藤を探しているのに いつも誰かの為に人を必死に探していた。 そんな景の姿が痛々しく でもじっとそばで見ていた。 遠藤の消息に関してのネタはゼロだ。 俺の命で柏木組の下っ端も必死に遠藤を 追っている。ケンもあらゆるツテを 辿っているが なかなか成果はない。 気長に諦めずいくから大丈夫。と景は微笑む。 刑事だった時よりかは若干気持ちが 安定しているようだった。 勝手に合鍵で景のマンションに入る。 週に一度はこうやって景のもとを訪ねる。 到着の時間が遅い時は 既に寝入っている景の寝顔を見て リビングのソファーで寝る。 一緒にベッドで寝たことはない。 たまにふざけて入ろうとするとものすごい 形相で睨まれる。 「冗談ですよ」と苦笑いしてそっとドアを閉める。 景の扉はなかなか開かない。 あの病院でのキスは なんだったんだろう。 何も無かった時は我慢出来た。 でも景の唇 可愛い舌や首筋の味を知ってしまうと 身悶えするくらい 欲求が迫り上がる。 絶対に諦めない。 そう思っていても 時々自暴自棄になる時もある。 元もまだまだ若い男なのだ。 酒を飲み 荒れて綺麗な若い男を抱く。 股を開かせ 欲しい欲しいと腰を振るその 尻を掴み ただ白濁の欲を出す為だけに 腰を打ちつける。 「・・んあっ あっ すごい・・すごい・・」 嬌声をあげ 打ち震える背中が 景だったら。。 いや これは景だ。 そう思い込もうと更に激しく突き上げる。 景が身悶える。俺の名前を呼ぶ。 「・・っう・・」 俺は全てを吐き出した。
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