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「助けて貰ってるけど」 俯いた俺の頭上から優しい景の声がした。 はっと顔を上げると 景はにこっと微笑む。 俺に問われ困って浮かべる微笑みではなかった。 元を想い 優しく包みこむような愛情を その微笑みは伝えてくる。 「・・でもあんた 未だにあの夢 見るんでしょうが。」 「なんでだろーね。まぁ夢はほら自分じゃ どーにもなんないから。 たまには見せとかないと このバカすぐに 忘れるぞーって上映してんじゃない?」 景はあっけらからんとそう言って ペットボトルの水をゴクリと飲んだ。 「上映って・・・」 まだ下を向く俺を 景は下から覗き込んだ。 「なーに凹んでんだ」 「・・凹んでなんかいませんよ」 顔を逸らし 嘯く俺の顔を両手で挟み 景はグリっと正面を向かせた。 「・・・??」 景が俺の唇に自分の唇を合わせた。 口を開き舌で開けてとノックする。 「景・・・っん・・」 驚き名前を呼ぼうと口を開ければ 待ち構えたように景の舌が入ってきた。 絡まり強く吸われる。脳天まで痺れが 駆け抜ける。 軽く離し 唇と唇が触れ合う距離で 景は囁やく。 「他の言葉言えよ・・」 「・・他?」 うんと頷き 元の唇を甘く噛みながら言う。 「助けたいとか 守りたいとかじゃなくて・・」 ふわっとまた甘い香りがする。 元は景の匂いに包まれると異常なまでに 煽られる。 「・・なくて?」 また景は頷き ぎゅっと元を抱きしめた。 元は眼鏡を放り投げ 首筋に口づけ 耳たぶを噛む 景は浅く喘ぐ 「・・んっ・・ん」 今度は元が景の口内をいたぶる。 上顎をなぞるように舐め上げる。 「・・あ・あっ・・あ・」 開いた口から景の甘ったるい声が漏れ 喉がきゅっと鳴る。 元はたまらなくなってその口に むしゃぶりついた。 激しく景の髪をかき混ぜ 舌を絡める。 息が上がった景から唇を離し 額と額をくっつける。 元は言った。 「景が好きだよ」と。
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