時期

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よく違う女と一緒にいるのを見た。 まだガキのくせに取っ替え引っ替え。 で、帰ってくると血まみれだ。 キツイ香水や化粧品の匂いと 血の匂いが入り混じり 元から漂ってくる。 まぁ思春期だしね。やりたい盛りだ。 優美も亡くなり 俺ともギクシャクしていた。 発散する場はあった方がいい。 それにしても毎回違う匂いだけど。。 それが景が柏木家を出て マンションで一人暮らしを始めると それまで俺を避けていた筈の 元がしょっちゅう押しかけてくるようになった。 その頃の元は受験もあるからだろうか 全くオンナの匂いがしない。 そのまま元も大学生となり 俺は警察官となり 大学を卒業した 元が 柏木組の正式な跡目候補となっても 気がつけば元はいつも俺のそばに居て そして 何の匂いもしなかった。 拉致事件の後 喫茶店を開き 探偵の依頼が入らなければ 毎日俺は店に居た。 舎弟の龍は 元が辰雄の共をしている時は 大体待機で よくうちでコーヒーを飲んでいた。 龍は 俺と元は血が繋がらなくても 本当に仲のいい兄弟だと思っている。 まぁ。。間違ってないけど。 兄弟はキスとか。。それもあんな 濃厚なのとか。。しないし。。 思い出して顔が赤くなるのが分かる。 もともと性欲も強くなく 人並みの経験はあれど キス如きでこんなにドキドキするような事は 初めての経験だ。 すっと目を細めて 景?と呼ぶ声に 胸が震える。。なんてヤバイヤバイ 龍が変な顔でこちらを見ていた。 「最近 アニキ変なんです」 ん? 景は眉をひそめる龍を見た。 「いつもなら アニキのマンションまで 送り届けて 姿がエレベーターの中に 消えるまでお見送りするのに 最近たまに 着いたらすぐ車を出すように 言われて。。」 不審に思った 龍は何かあったらいけないと思い 路地を曲がりすぐ車を止めて 小走りにマンションへと引き返した。 するとマンションのエントランスで 元にしなだれかかる男を見た。 「男?」 「へい。なんか華奢な野郎で。 アニキはすごい迷惑そうに離そうとしてましたが そのまま部屋まで一緒に 上がっていったみたいで。」 あんなツレ見たこと無いんだけどなーと ぶつぶつ言う龍の言葉は耳に入らなかった。
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