繋がる

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「押し花ですか。。」 目の前に拡げられた 何十枚もの押し花の1枚をそっと戻し 俺は目の前でハンカチを握りしめている 女性を見た。 常連のミッちゃんが連れてきた彼女は 20代後半 あまり化粧っ気も無く でも清潔感漂う大人しそうな女性だった。 ミッちゃんの経営するバーの お客さんで、俺が探偵をしていると聞くと 相談したい事があるとやってきたのだ。 名前は柳生美智子 ミッちゃんが同じミッちゃんなのよーっと 嬉しそうに言っていたが ミッちゃんは本名満男だ。 ゲイバーのママで 見た目はプロレスラー 美智子とは似ても似つかない。 「で、具体的なご依頼は?」 美智子は顔を上げ はっきりとした澄んだ声で 言った。 「この送り主を探して もう止めるように 言って欲しいんです」と。 「やめてほしいんですか?」 シャワーを浴びてタオルで頭をゴシゴシ 拭きながら 腰にバスタオルを巻いただけの 元がこちらを見た。 キレイに割れた腹筋に 引き締まった身体。 思わず見惚れて ハッとした俺は慌てて 目を逸らし頷いた。 「美智子さんって施設の出身なんだって。 かなり苦労したみたいなんだけど やっと仕事も生活も落ち着いたら なんか急に送られてくるようになったらしい。」 引っ越してもしばらくすると新しい住所に また送られてくる。 なんだか気味が悪く でもなかなか 捨てる勇気もない。 この度目出度く縁談がまとまり 新居にまで送られてきたらどうしよう。。 彼もきっと薄気味悪がる。そして 彼女自身に何か問題かあるんじゃないかと 思われたら。。 という事で今回俺に依頼してきたと いう訳だ。
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