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「大丈夫よとさゆりは笑って言ってたから
あまり大袈裟にしてもいけないかと思って。
そうしたらあんな事があって。。」
無理心中の話は店のマスターから聞いた。
「信じられなくて。 あんなに幸せそうだったのに」
万里子はそう言うと涙ぐんだ。
景も思わず目を伏せる。
調子を崩し 長い病院生活が始まり
さゆりの事はだんだん遠い過去になった。
そんな時 一人の男が訪ねて来た。
岸田と名乗るその男は
さゆりの息子が 犯人は別にいると信じ
探していると告げた。
びっくりした万里子は あの手紙を
岸田に渡し 息子さんに見せてあげてくれと
頼んだという。
「私もさゆりやあの旦那さんが
そんな事するとは思えなくて。。。
だから 読んで欲しかったのよ」
「・・・そうだったんですか。」
景は今聞いた事が 全て自分の想像に
当てはまり内心動揺していた。
やはり遠藤は絶対に関わっている。。
万里子はいらないからと写真をくれた。
「犯人が見つかる事を私も祈ってるわ」
万里子はそう言って 景の両手を握った。
頭を下げ 立ち上がる。
「お身体気をつけて下さい」
ありがとうございましたと景は言って
病室を後にした。
写真を見つめる。
思わず持っている手に力がこもり
グシャリと握り潰す。
景の前で轟々とあの炎が燃え上がっていた。
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