手紙

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シーツに肘をつき荒い呼吸を整える。 横に転がり腕を伸ばして景を抱きしめる。 ゆっくり顔を近づけ 口づける。 景は脱力し 全てを元に預けきっていた。 トロンとした顔は 今にも落ちそうだ。 「やっと俺のもんになった」 元がつぶやくと 景は目を瞬き みるみる紅くなる。 恥ずかしそうにゆっくり 下を向き 元の胸へ唇を押し当てる。 ちゅうちゅうと吸い付きくすぐったい。 「・・景。こっちきて」 景の顔を両手で挟み 潤んだ目を見つめる。 「何があっても俺のもんでいいですか」 景は 答えず 唇を突き出しキスをねだる。 唇と唇が合わさるだけの幼いキス。 身体中を爽やかな緑の風が駆け抜ける。 長くそうして ゆっくり離すと 元の灰色の眼を覗き込むように 景は言った。 「お前が俺んだろ?」と。
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