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さて。俺も仕事に取り掛からねばならない。
遠藤の事はひとまずケンに任せて
例の美智子の押し花だ。
勝手に行くと元に怒られるので
消印の場所に行く前に出来る事として
もう一度預かっていた押し花を調べる。
見た時から思っていたのだが
どうもこれらは素人っぽくない。
勿論売っているもののように
デコレーションがしてある訳ではないが
きちんと一枚一枚仕事がしてある気がする。
花の種類も豊富で 見た事もないような
花もいくつかある。
「ちょっと個人の趣味を超えてるよな。。」
インターネットで押し花のしおりを
作って売っているような店は無いかと探したが
商品化されているものと比べると
ただの茶色の紙に押し花が貼ってあるような
シンプルなものは見かけない。
美智子は施設の出だ。
つまり親がいないということだ。
聞くと消印の港町の隣町で 捨てられていた
美智子を 警官が保護し
色々調べたが親は見つからず 施設に
預けられたそうだ。
一番あり得そうな話として
美智子の親が 自責の念として
娘に押し花を送り 陰ながら見守ってる的な
メッセージを送っている。。とか。
美智子もなんとなく
そんな風に思っているらしく
とはいえ 今更親に会いたいとも思って
いないらしい。
もしそうならただただ迷惑だ。
と厳しい顔をしてそう言っていた。
とりあえずはやっぱり消印の場所に
いかねばなるまい。
美智子の親がいるかもしれないのだから。
親子って何だろうな。。。
景は思う。
ほとんど親の記憶も無いのに
今までの景の人生はほとんど
亡くなった両親の事だ。
美智子は親が生きているかもしれないのに
切り離したがっている。
はぁーっと深くため息をつき
コーヒーを一口飲み
窓の外を眺める景を 皿を拭きながら
ケンは横目で見て でも何も言わなかった。
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