守る

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しかし。。それにしては。 高嶺は元から漂う雰囲気を前に 少し思案し 思い切って口にする事にした。 「意外と落ち着いてるな。」 昨日までの元はイライラと心の 置き所が無い様子で その纏う空気は触れれば切れそうだった。 ましてや景が岸田と会ったなんて。。 なぜこんなに冷静なのか。 ちゃんといつもの元に戻っている。 ・・・まぁ。考えられる事は一つだ。 「景さんに何か言われた?」 俺から元の事情を聞き 把握した景が 何か言ったのだろう。 高嶺はそう思った。 きっと優しくして貰って。。 「・・・般若が出た。」 真顔で目線を落とし 元はそう言った。 「般若顔の景に怒られた。。。」 そう言う元の声音は子供の頃のまんまだ。 高嶺も思わず 「マジで!?」と返す。 うわぁ。。。アレは怖い。 高嶺も何度か遭遇し 元と二人で足の感覚が無くなるまで 正座させられた事を思い出し 冷や汗が出る。 「久しぶりに殺されるかと思った。」 「うわぁ。。俺二度とあの景さん見たくねえ。。」 「うん。。涙出そうになった。。」 子供の会話か。 二人で思わず顔を見合わせ 爆笑した。 そうか。 景さん怒ったんだ。 それはいつも元を いや 俺の事でさえ 真剣に考えてくれる景だからだ。 間違っている事は間違っている 例え極道の家の子でも それを思い違いするなとよく諭された。 そんな景はある時期から全く怒らなくなった。 どんどんそうやって離れていった気がする。 高嶺でさえ寂しさを感じたのだ。 元はもっともっと寂しかっただろう。 怖いけど。 ちょっとまた見てみたい。 景さんの般若顔。 高嶺は 何故かとても嬉しかった。 元は気を取り直し 高嶺の顔を見た。 「景の両親の事件を洗い直したい。 手伝ってくれるか?」 高嶺は気づく。 手伝え。では無く 尋ねてきている。 ・・そういや 俺たちは友達だったな。 高嶺は 力強く頷き 「当たり前だ」と言い 元の肩をポンっと小突いた。 元は ニヤッと笑い 同じように高嶺を小突いた。 「景さんはどうする? 舎弟をつけるか?」 高嶺は元の心配を慮ってそう言ったが 元は首を振り 「景は大丈夫だ。」 般若だぞ?と言い 笑った。 そうだったな。 高嶺も頷き 心の中で思う。 こいつはまた大きくなる。 そしてまた景を必死に守るだろう。 それでいい。 俺はそれを支えるだけだ。 また忙しい日常が始まろうとしていた。
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