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「ジャンのいくじなし」
エリザベートはふくれっ面のまま言う。
「ははは……」
ジャンは乾いた笑いを浮かべるだけだ。
そんな柔和なジャンのことを愛している。そしてこれからもきっと。
明日始まる婚約発表会は、きっと、エリザベートにとっては楽しいものではないだろう。それでも悲劇のヒロインを装うのはやめようとエリザベートは決意する。
「このまま、時間が止まってしまえばいいのに……」
小さく呟いたエリザベートの言葉に、ジャンは何も返す言葉が見付からない。
「大丈夫よ、ジャン。明日から私はお人形になるの。いい子になるわ」
だから、今だけは。
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