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涼しげな海風を受け、放課後にした約束のとおり、彼女は海を見つめて待っていた。この町の夕日は、恋愛のパワースポットとして名が高い。学校の中だけどね。
「こんな場所を選んできて、いよいよ告白かなぁ」と、教室のカーテン越しに期待に胸を膨らませ、1時間。仕事を終えた大人たちが集まり、もう1時間。ほかの大人や生徒がイチャコラをしている姿を見ながらの1時間。そして、日が暮れる。もう、3時間も待たせるって、連絡のひとつもないの?帰っちゃいたいけど、もう、どうしよう。携帯がずっとつながらない。そんな状況の中、マジックアワーが訪れる。
パシャッ!!
そりゃ、こんな場所なら写真くらい誰でも撮るよね。・・・帰っちゃおうかな。
そのとき「おまたせ」。そんな表情の君が撮りたくて、ちょっと意地悪しちゃった。
「そんなに大事なの?そんなことが!」
「写真コンクールに応募するんだもん。被写体は君じゃなきゃ成り立たないだろ。」
ふたりとも、3時間待つとか、待たせて平気とか、どんだけイケメンやねん。
しかも、ふたりともカメラ部なんて!?
「それに、サプライズってのは、このことだよ。」
と、男は彼女にスムーチした。
男は力強く彼女を抱きしめる。
彼女は甘く溶けてった。
そんな満足げな男の顔を写メル彼女でもあったのだが。
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