第1章 787 コクピット (遥の視点)

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右のエンジン出力を上げ、左に旋回しながら高度を上げる。3千フィートで待機旋回に入った。 客室にアナウンスを流した。 「副操縦士の高橋です。着陸準備にもう少し掛かるので、上空待機致します。着陸準備が整いましたら、もう一度、連絡を差し上げます。」 インターフォンが鳴る 「L1竹本です。何かトラブルですか?」 (しまった、チーフパーサに先に流すべきだったか・・?) 「竹本さん、連絡できていなくて申し訳ありません。着陸ギアにトラブルがあったので現在、技術部に解析してもらっています。確認次第、着陸に入ります。待機旋回を離れて着陸まで10分くらいと思います。状況変わったら直ぐに連絡します」 「了解です。よろしくお願いします」 しばらく待つとカンパニー無線が鳴った。 「FE264便、第一技術部ダイレクターの大川だ。防衛省より貰った左ギアの格納ドアの詳細解析を行ったが、ドアの開口部はズレて胴体に大きくめり込んでいる。こちらの見解は、左ギアを降ろすのは不可能だ」 私は、衝撃を受けた。 「それでは、左ギアの無いまま、胴体着陸と言う事ですね」 「いや、右ギアのみでは、着陸後、機体が滑走路を外れる可能性があるから、全てのギアを収納して胴体着陸をしてくれ。長谷川機長なら問題なく出来るはずだ」     
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