第1章 787 コクピット (遥の視点)

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私は、機長の方を一瞥して答えた。 「機長は、現在、操縦できる状態ではありません。私が、操縦しています」 「なっ?!」 無線の向こうで、大川ダイレクターの叫びが聞こえた。 でも、悩んでいても仕方が無い。燃料はあと15分だ。着陸のトライは多分1回しか出来ない。 右エンジンのみで胴体着陸を17歳の女子パイロットが行うのは前代未聞だろう・・ 「でもやるしかない・・」 「北九州タワー、FE264便です。ギアダウンを断念し、胴体着陸をします。非常用装備の準備をお願いします」 「了解です。少し時間を頂けますか?」 「もう燃料がありませんので、今から待機旋回を離れます。着陸は10分後くらいと思います」 「了解です。至急、準備します」 客室を呼び出す。 「はい、L1竹本です」 「高橋です。結局、ギアの故障の修理が出来なかったので、北九州空港には胴体着陸をします。着陸まであと10分です。客室乗務員は、お客様の緊急着陸のサポートをお願いします」 「胴体着陸ですか・・。判りました。客室の事は任せてください。L1了解です」 そのまま、客室にアナウンスを流す     
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