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電波高度計が高度を読み上げる「100, 50, 30,20・・」
私は操縦桿をゆっくり引いた。機体後部が接地した。右スロットルをアイドルへ、スピードブレーキを展開し、ゆっくり操縦桿を戻す。前部胴体も接地した。火花が見える。物凄い音だ。
ラダーペダルで滑走路の中心を維持する。思いのほか速度が落ちない。
躊躇しながらも、私は右エンジンのリバースレバーを持ち上げた。
その瞬間右へ機体が振られる。左のラダーペダルを一杯踏んで抑える。
飛行機は、滑走路を右に外れた。そして、ゆっくり停止した。
直ぐに、右エンジンを停止する。緊急脱出チェックシートを走らせる。
「客室乗務員へ、緊急脱出を!!」客室へ緊急脱出の指示を出す。
EICASの画面に全てのドアが開いた事を示す表示が出た。消防車が周りを囲む。幸い、火災は発生していないようだ。
上空をF35がローパスしていく。
「FE264便、見事な着陸だった。君は戦闘機パイロットでも使えるな」
エンジェルリーダの声が響く。
「エンジェルリーダ、最後までサポートありがとうございます。お名前を教えて頂けますか?」
少し間をおいて・・
「私は、山本真理一尉だ。君の名前は?」
「高橋遥です。今度、お礼に伺います。エンジェルリーダ、本当にありがとう」
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