第1章 787 コクピット (遥の視点)

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私は、肩をなでおろした。 コクピットのドアを開けると、客室はもぬけの空だった。 L1ドアを抜け、シュターを滑り降りる。 機首の先に、乗客乗員が集まっている。そこに向かった。 すると、多くの乗客が私に向かってきた。 「あの・・?」私は、何故、人が集まって来ているか分からなかった。 先頭の男性が聞いてくる。 「君が操縦をしてくれたのか?」 私は少し、躊躇しながら言った。 「はい、機長がケガをしたので、私が操縦させて頂きたました、お客様にはご迷惑をお掛けして大変申し訳ありません」私は大きく頭を下げた。 乗客がざわめき、そしてわーっという声が聞こえた。 「彼女が操縦してくれたんだ。ありがとう、君は私達の命の恩人だ・・!!」 大きな歓声と拍手が上がった。 その後、空港のバスが来て、乗客は次々とターミナルに向かって行った。 私は、肩の荷が降りた様に感じて、しばらくそこに佇んでいた。 そこに、私と同じ年くらいの女の子が近づいて来た。とても可愛い。そして言った。 「私、木下綾、先輩、素晴らしい着陸でした。握手をして頂けますか?」 私は、少し照れながら、彼女が差し出した手を握った。そして言った。 「一生懸命、仕事を果たしただけよ」 私は、あれっと思った。     
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