第2章 787 客室 (綾の視点)

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隣の母がシートベルトを外そうそしていたが、少しまごついている。前に座っていた客室乗務員さんが、直ぐに立ち上がって、シートベルトを外す助けをしてくれる。 「お客様、化粧室ですね。その先、右にあります。もう直ぐベルト着用サインが点灯します。お急ぎ下さい」 母が、ありがとうと言いながら、化粧室に立ち上がった。 私は、彼女の名札を見ながら言った。 「加藤さんとおっしゃるんですね。ありがとうございます。私も来月から極東航空に入社するんです。入社したらどこかで一緒にお仕事できるといいですね」 加藤さんは、大きな目で2回瞬きをして、可愛い笑顔を見せる。 「本当ですか? 客室乗務員になるんですか?」 私は照れながら・・ 「いえ、なんと、パイロット候補生です」 加藤さんは、目を見開いて、続けた。 「凄いな、今も、相変わらず、パイロットは男性職場だから、女性の数は少ないですよ。副操縦士にチェックアウトして一緒のフライトになったら、是非一緒にご飯に行きましょう。私は、加藤沙也加です」 私も、満面の笑顔で答えた。 「はい、お願いします。沙也加先輩。私は、木下綾です。ラインの連絡先交換しましょう」 「ごめんね。勤務中は携帯持っていないから・・ 連絡先のメモ頂戴、後で連絡する・・」 私は、頷いて、メモを取り出し、沙也加さんに連絡先を渡した。     
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