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隣の母がシートベルトを外そうそしていたが、少しまごついている。前に座っていた客室乗務員さんが、直ぐに立ち上がって、シートベルトを外す助けをしてくれる。
「お客様、化粧室ですね。その先、右にあります。もう直ぐベルト着用サインが点灯します。お急ぎ下さい」
母が、ありがとうと言いながら、化粧室に立ち上がった。
私は、彼女の名札を見ながら言った。
「加藤さんとおっしゃるんですね。ありがとうございます。私も来月から極東航空に入社するんです。入社したらどこかで一緒にお仕事できるといいですね」
加藤さんは、大きな目で2回瞬きをして、可愛い笑顔を見せる。
「本当ですか? 客室乗務員になるんですか?」
私は照れながら・・
「いえ、なんと、パイロット候補生です」
加藤さんは、目を見開いて、続けた。
「凄いな、今も、相変わらず、パイロットは男性職場だから、女性の数は少ないですよ。副操縦士にチェックアウトして一緒のフライトになったら、是非一緒にご飯に行きましょう。私は、加藤沙也加です」
私も、満面の笑顔で答えた。
「はい、お願いします。沙也加先輩。私は、木下綾です。ラインの連絡先交換しましょう」
「ごめんね。勤務中は携帯持っていないから・・ 連絡先のメモ頂戴、後で連絡する・・」
私は、頷いて、メモを取り出し、沙也加さんに連絡先を渡した。
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