第1章 787 コクピット (遥の視点)

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1レグ目は私がPM(通信モニター)を担当し、2レグ目はPF(操縦)を担当し、このフライトは再びPMだ。 フライトは終盤に差し掛かっていて航空路Y20で山口県沖のウェイポイント”Kirin”まで25マイル。高度は3万フィートを切って降下中だった。 長谷川機長が指示する。 「それじゃ、ベルトサインを出してくれ」 私は、「はい」と答え、オーバヘッドコンソールのベルトサインSWをONにした。 突然、目の前を何かが上方に横切った。 「何だ? 今のは? ニアミスか?」長谷川が声を上げる。 私は計器を一瞥し、答える。 「TCASには何も出ていません。飛行機だとしたらトランスポンダーを切っているのでしょうか・・?」 「あれは、戦闘機だ・・ 自衛隊か?」 上昇していった戦闘機と思われる機影は、上昇後、水平飛行に移り、1時方向に飛んでいる。高度差は1万フィートくらいか・・ 「ニアミスを航空管制に連絡しよう」了解ですと答え、私が福岡コントロールを呼び出そうとしたときに、突然、緊急通信が入った。国際緊急周波数だ。 「FE264便、こちらは防衛省横田司令室だ。応答願いたい」 機長と目を合わせる。機長が頷いた。 「こちらFE264便です。どうぞ」     
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