第1章 787 コクピット (遥の視点)

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気がつくと、コクピットの左側の窓が割れていた。機長は後頭部から血を流してぐったりしている。 物凄い、風音だ。耳がキーンとする。鼓膜が痛い。 客室から、プリレコーディットアナウンスが聞こえる「現在、緊急降下中!」 はっと気づき、私は、右手で酸素マスクを取り出し装着した。 PFDを見ると、自動操縦が外れ、左に30度ロールしている。EICASには数え切れない警告が出ている。特に 「左エンジンから出火・・」 私は、直ぐに左エンジンのスラストレバーを引き、左エンジンの消火スイッチを押した。 そして、緊急降下に入る。右スロットをアイドルに引き、操縦桿を前に押し込む。エアブレーキを展開した。降下率は毎分1万フィート。そして、無線に呼びかける。 「メーデー、メーデー、福岡コントロール、こちらFE264。緊急事態を宣言します。現在、緊急降下中」その後、トランスポンダーをスコーク7700にセットした。これで二次レーダ上でも緊急事態が伝わるはず。 緊急降下により約2分で1万フィートに達した。操縦桿を引き、エアブレーキを戻す。右スロットを押して右エンジンの出力を上げた。     
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