第1章 787 コクピット (遥の視点)

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「機体のコントロールは出来ていますが、左エンジンが故障していますので目的地を変えて、北九州空港に緊急着陸をすることにしました。着陸は通常より激しいものになる可能性があります。客室乗務員の指示に従って下さい」同じ内容を英語で繰り返した。 前方に周防灘とそこに浮かぶ北九州空港が見えてきた。エンジェルリーダのF35は右側方にピッタリついていてくれる。 徐々に高度を落とし、北九州空港のダウンウィンドレグに到達したときには、1千フィートまで降下が出来ていた フラップを30度、ギアを降ろす。「うん??」  ギアライトの左がロック(グリーン)にならない。 「エンジェルリーダー。左のギアがおかしいの。見て頂けます?」 「ラジャー」 その声と同時に右側に居たF35が下方に消えた。 「FE264便、左ギアは出ていないわ。左のウィングボックスの損傷で格納ドアの開口を妨げているみたい」 私は、目を見開いた。直ぐに、手動でのギアダウンを試すが、やはり出ない。 「FE264便、ギア格納庫の写真を撮って、横田の司令室に送ったわ。極東航空の技術部に送るみたい。少し待って」 「了解です、サポートありがとうございます」 私は、北九州タワーを呼び出した 「北九州タワー、FE264便です。左のギアが出ないので、今、カンパニーに確認して貰っています。上空待機をさせて下さい」 「FE264便、上空待機を許可する。3千フィートに上昇し、待機旋回に入れ」 「了解です」     
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