第2章 787 客室 (綾の視点)

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第2章 787 客室 (綾の視点)

2029年8月12日 「こちらは機長の長谷川です。現在の山口市の上空、高度は4万フィート、約1万2千メートルです。間もなく福岡空港に向け降下に入ります。本日は、極東航空をご利用頂きましてありがとうございます」 機長のアナウンスが流れた。もうすぐ福岡に到着だ。 私は、木下綾、16歳。帝国大学の2年生だが、今年、大学を卒業し、9月からこの極東航空にパイロットとして採用されることになった。一応、大学では首席の成績で、通常より半年短く、全ての単位を獲得し、卒業資格を勝ち取った。これは女子では、帝国大学初だった。 今日は、母の実家の大分県日田市に帰省する為、母と一緒に極東航空264便で福岡空港に向かっている。 「まもなく着陸に向けた降下に入ります。化粧室をご使用されるお客様は、この時間にお願いします」 チーフパーサからの追加のアナウンスが流れた。 私と母の席は左窓側の12Aと12B。この席は、搭乗ドアの丁度後ろにあって、足が伸ばせて快適だ。また、ドアの先には担当客室乗務員が座っている。とても可愛い、多分私とそんな年齢が変わらない方と思う。     
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