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「聞きたまえ、実は今朝も電車から降りると見知らぬ女性から告白を受けてしまったね...ほんとに困ったものだよ、僕には愛する人がいるから当然断ったのだが、その愛する人が誰か分かるかい?」
「うんこー?」
「NO 僕さ、僕は僕を愛している。あー...なぜ世界は自分自身と結婚することができないのだろう...この世界で唯一僕だけが僕と結婚することができない...すごく不平等だと思わないか?」
手を顔の前で覆うように飾し、困る素振りを見せる。
「べっつにーーー」
「と、東堂くん!!!」
小森さんの怠け声の後、後ろから別の女性の張りのある声が聞こえてきて、優雅に振り返る。
「ん?どうしたんだい?山野さん」
山野さんの後ろには付き添いの女子2人が「頑張って!」っと小声で彼女に応援していた。
「あ、あの...あ、明日私と映画に行きませんか!」
山野さんが顔を真っ赤にして目を力強く瞑っている。
「すまない、明日はピアノのレッスンがあるんだ」
僕がウインクしてそういった途端、山野さんが目を開き死人のような顔になった。当たり前だ、この僕に振られたのだから。
「そ、そう...」
亡霊のような声が聞こえ、そのまま3人が僕の後ろ、そして小森さんの後ろを通り過ぎた所で足が止まった。
「ねぇ小森さん、ちょっといいかしら」
「え?私?」
山野さんが落ち込んでるのでそう見えたのか怖い顔で小森さんを呼び出した。
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