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それから数日
「僕さ、背も高くてスタイルもよくてイケメンだろ?昨日電車の吊り革持ちながら片手で読書していたらモデルにならないかってスカウトされてさ、ほんとにやれやれ...ん?」
僕はそこまで言うと、不意に小森さんの腕に目がいった。
「小森さん、その腕はどうしたんだい?」
小森さんの左手首に包帯が巻かれていた。
「あーこれ?...ちょ、ちょっとこけた時、手ついちゃって...」
そう言って小森さんが困った顔で左手首を隠した。
「大丈夫なのかい?」
「平気よ、こんなの」
小森さんのポケットから携帯が鳴る。
「あ...じゃあちょっと行かなくちゃならない所あるから」
携帯の着信が合図かのように、小森さんは左手首を抑えながら教室から出ていった。
「ん?」
出ていく際に小森さんのポケットから紙のような物がヒラヒラと落ちた。
僕は席を立ち、紙を拾いに行くと何も考えずにそれを広げた。
『死ね、消えろ、おかっぱ、チビ、学校くんじゃねーよ、東堂くんに近づくな、転校しろ』
赤い力強い筆圧で、呪いのようにそう綴られていた。
僕は唖然とした。
こ、小森さんがいじめられている...?
小森さんの左手首の包帯を思い出す。
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