小森さん

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山野さんは、自分がした行いに後悔を持ったのか、目に涙を浮かべながら走り去っていった。それに続いて「かなで!まって!」と女子二人が追いかけていく。 僕は再び目線を小森さんに向ける。 「なーにー?助けに来てくれたのー?」 こんな時だというのに、小森さんは笑いながら呑気なトーンだった。 「すまない...僕がもっと早く気づけていたら...」 自分の情けなさに思わず涙が零れた。 「クールで美しくて完璧な男がそんなメソメソした顔するんじゃないよ」 僕はその時、心の中で何かが渦巻いた。 小森さんが汚れた制服で立ち上がった。 いつも小さく脆そうだった小森さんが、なんだか大きく逞しく見えた。 「ほら、教室戻ってまたいつもの自慢話聞かせてよ」 僕は思わず笑を浮かべて立ち上がり、2人で教室に戻って行った。 「先日、俳優と間違われてね」 「ふーーーん」
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