3人が本棚に入れています
本棚に追加
山野さんは、自分がした行いに後悔を持ったのか、目に涙を浮かべながら走り去っていった。それに続いて「かなで!まって!」と女子二人が追いかけていく。
僕は再び目線を小森さんに向ける。
「なーにー?助けに来てくれたのー?」
こんな時だというのに、小森さんは笑いながら呑気なトーンだった。
「すまない...僕がもっと早く気づけていたら...」
自分の情けなさに思わず涙が零れた。
「クールで美しくて完璧な男がそんなメソメソした顔するんじゃないよ」
僕はその時、心の中で何かが渦巻いた。
小森さんが汚れた制服で立ち上がった。
いつも小さく脆そうだった小森さんが、なんだか大きく逞しく見えた。
「ほら、教室戻ってまたいつもの自慢話聞かせてよ」
僕は思わず笑を浮かべて立ち上がり、2人で教室に戻って行った。
「先日、俳優と間違われてね」
「ふーーーん」
最初のコメントを投稿しよう!