3人が本棚に入れています
本棚に追加
小森さん
「ねぇ、小森さん」
携帯式の手鏡に映り込む僕の煌めく瞳、完璧な鼻筋、見るだけでキスしたくなるような唇、斜め45°から見た奇跡の美貌に見惚れながら彼女の名前を呼んだ。
「なーーにーー?」
小森さんのナマケモノみたいな返事が返ってくる。
「この世で一番クールで美しくて完璧な人間を...」
僕はそこまで言ったタイミングで、携帯式の手鏡をパタンと閉じる。
「誰か知っているかい?」
目線を愛用の手鏡から、右隣の席で机に顎を乗せる小森さんに向けた。
「しーらなーーーい」
小森さんの机に乗った顎がカクカクと動く。
「それは僕さ」
僕はまるで雑誌のイケメンモデルのようなポーズを決める。僕はきっとそのモデルより輝いたポーズをしているはずだ。
「ふーーん、そーーなんだー」
小森さんはずっと机に顎を乗せたままで、目線も前を向いている。身長が150あるかないかで、机もそれ相応のミニサイズであり、さらに小さな背中を丸めそのようなポーズを取っているので、さぞ目線の標高が低いはずだ。
最初のコメントを投稿しよう!