小森さん

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小森さん

「ねぇ、小森さん」 携帯式の手鏡に映り込む僕の煌めく瞳、完璧な鼻筋、見るだけでキスしたくなるような唇、斜め45°から見た奇跡の美貌に見惚れながら彼女の名前を呼んだ。 「なーーにーー?」 小森さんのナマケモノみたいな返事が返ってくる。 「この世で一番クールで美しくて完璧な人間を...」 僕はそこまで言ったタイミングで、携帯式の手鏡をパタンと閉じる。 「誰か知っているかい?」 目線を愛用の手鏡から、右隣の席で机に顎を乗せる小森さんに向けた。 「しーらなーーーい」 小森さんの机に乗った顎がカクカクと動く。 「それは僕さ」 僕はまるで雑誌のイケメンモデルのようなポーズを決める。僕はきっとそのモデルより輝いたポーズをしているはずだ。 「ふーーん、そーーなんだー」 小森さんはずっと机に顎を乗せたままで、目線も前を向いている。身長が150あるかないかで、机もそれ相応のミニサイズであり、さらに小さな背中を丸めそのようなポーズを取っているので、さぞ目線の標高が低いはずだ。     
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