1.恋の身の丈

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動き始めたというのは路上ライヴのことなのか。 いずれにしろ、音楽に関しては航も良哉も東京に出ることで何かきっかけを得られるかもしれない。 いま久しぶりにバンドのなかでドラムを操る航を見ているけれど、より鮮やかにぶれのないリズムを繰りだし、ドラマーとしての腕はけっして鈍っていない。 フリーダム自体が、ドラマーをあらためて探すくらいだ、実那都からはバンドとして完成して見えた。 祐真の曲のように訴えかけるものでもなく、ロックというよりはポップみたいに軽快で、それが航にとっては物足りないのかもしれなかった。 「ちょっと電話が入ってて、向こうで話してくるね」 ふいに、明菜は実那都たちに断りを入れてスタジオから出て行った。 「ね、西崎さん、うちのお母さんから聞いたんだけど」 ふたりきりになったのを見計らったように円花が話しかけ、実那都は促すように首をかしげた。
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