1.恋の身の丈

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「ふん、一番にならないと気がすまないって奴が何云ってんだよ」 「だよね。日高くん、がんばってるって見えないのに気づいたら一番だもん」 「真弓ちゃん、それ褒め言葉には聞こえないけど」 「それは誤解。褒め言葉でしか云ってないよ。成績も一番、走るのも一番で(けな)す人いないと思うけど」 良哉が苦笑するなか、航がまた鼻先で笑って真弓に向かう。 「真弓ちゃん、ちょっとそこは違うんだよな」 「そこって?」 「良哉はさ、確かに走るの速いけど、ただ走るっていうんじゃ、良哉より速い奴はもっといる」 「あ、だから良哉くんは障害物競走?」 実那都が口を挟むと、航は―― 「そういうこと」 と人差し指を立てた。
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