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「ふん、一番にならないと気がすまないって奴が何云ってんだよ」
「だよね。日高くん、がんばってるって見えないのに気づいたら一番だもん」
「真弓ちゃん、それ褒め言葉には聞こえないけど」
「それは誤解。褒め言葉でしか云ってないよ。成績も一番、走るのも一番で貶す人いないと思うけど」
良哉が苦笑するなか、航がまた鼻先で笑って真弓に向かう。
「真弓ちゃん、ちょっとそこは違うんだよな」
「そこって?」
「良哉はさ、確かに走るの速いけど、ただ走るっていうんじゃ、良哉より速い奴はもっといる」
「あ、だから良哉くんは障害物競走?」
実那都が口を挟むと、航は――
「そういうこと」
と人差し指を立てた。
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