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真弓は、『しかも』なんなのか、中途半端に言葉を切って航を覗きこんだ。
「なんだよ。おんなじブロックのくせに、勝って不満かよ」
「そうじゃなくって。色気って意味で、女子をノックアウトしてるよねって話」
「は?」
航は間の抜けたような顔で疑問ともいえない一語を発した。
「真弓、どういうこと?」
「もう、実那都ってばのん気っていうか鈍感なの? 騎馬戦て上半身は裸じゃない。藍岬くんて、そこんとこ大人なんだよね」
実那都は、真弓がそう云ってもすぐにはぴんと来なかった。
「ふん、おれが躰を鍛えてんのは見せびらかすためじゃねぇ。ドラムは筋力と体力勝負なんだよ」
航がばかばかしいといった様で真弓に返した。
そこで『色気』と『裸』と『大人』という三つの言葉が繋がって、実那都はようやく気づく。
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