1.恋の身の丈

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「へぇ、ドラムってそうなんだ。日高くん、ピアノってどうなの?」 「ピアノ弾くために全身の筋トレってはやらないな。手とか指トレはするけど」 「ただ音出すってだけならわざわざやることでもねぇ」 「でも、藍岬くんと日高くんは、ただ音出すだけじゃないんだ」 「ったりめぇだ」 「ジムとか通ってるの?」 「たまにな。ほとんどは自分でやる」 「すごーい。日高くんは指トレってどうやるの?」 真弓の発言が気にかかり、三人で進んでいく会話を実那都はうわの空で聞いていた。 制服でも私服でも、航は細身に見える。 けれど、中学三年で同じクラスになって水泳の時間に見た姿に、頼りないような細さは感じなかった。 けんかをするほどだ、ほかの男子よりはがっちりして見えた。
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