1.恋の身の丈

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高校二年生のいま、真弓の云うとおり、三年生と比べても強く見える。 実際、騎馬戦の闘いぶりを見れば、きっと馬になった男子たちのほうが航を支えるのにたいへんだったんじゃないかと思う。 高校生になって自転車通学になった航と、帰り道、二人乗りすることがたまにある。 高校の合格発表のときにそうしたように、ふざけて抱きつくことがあって、そのときちょっとずつ感覚が違ってきていることには気づいていた。 ただでさえ背が高かったのに、高校に入ってまた三センチ背が伸びて一八〇センチを超えたというからそのせいかと思っていた。 なんとなく、航に抱きつく自分が急に無邪気する気がしてきた。
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