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隣のサークルさんが来る。隣同士で本の交換をするって聞いたけど、どうなのかな? 隣のサークルさんの本は、可愛い表紙絵がついたB5サイズの素敵な本だ。紙も上質そうだ。しかし、本の交換なんてことはなく、挨拶だけをした。
正面のサークルさんは、段を作って、本をたくさん並べている。どの本も商業品みたいに綺麗だ。机にはビロードのような美しい布。のぼりのように立てたPOPは、美しいカラーのキャラクター絵だ。
よく見れば、どのサークルさんも工夫を凝らしてアピールしている。ああ、僕のブースのなんたる貧しいことよ。大学生サークルの新入生勧誘の机より出来が悪い。
紙で作ったあり合わせのPOPに、ただ表題が印刷されているだけの、裁断もしていない本。机に敷いているのはバスタオルだ。穴を掘って潜り込みたい。
いたたまれない気持ちになったが、この惨めささえも経験として蓄積するんだ、と気合を入れ直し、前を向いて座り続けた。
右側の大通りに形成された列はしばらくして移動した。10時の一般入場が迫る。スタッフさんがまわって来た。
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