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私はこの高校の入試日、下駄箱で緊張しすぎて盛大にコケた。
周りにいた受験生は私を見て笑っていた。
でも黒い髪の男の子が私に手を差し伸べて立たせてくれた後、「頑張って」と言ってくれて。
そのお陰で緊張も解れて、私は落ち着いて入試を受けることが出来た。
「お互い受かったら、おめでとうって言い合おうって言ったのに、すっかり忘れてるしさ」
そうだ。
そう言われた。
でも私は緊張しすぎていたせいもあって、彼の顔をすっかり忘れていた。
だから彼にお礼すら言えなかった。
でもまさかそれが日下君だったなんて……。
でもさ、それなら、
「言ってくれれば、良かったのに……」
「俺しか気付いてないって、惨めになったから」
惨めって……どうして……?
「いつも転けてるどじっ子のくせにさ」
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