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「日下とさっき付き合う約束してたよね。だから言ったじゃん。日下は紗奈が好きだって」
風紀チェックを終えて教室に戻る途中に由香が言ってきた。
「は?」と私は思わず口と目を全開にして固まってしまう。
だって私、そんな約束していないから。
「黒に戻したら付き合うって。もう忘れたの?」
私の表情を読み取って気付いたのか由香が呆れた顔で言う。
あぁそれか。
「あんなの冗談だって」
十五分程前の出来事だが、既にすっかり綺麗に忘れていた。
「でも染めてきたらどーすんの?」
「染めてこないでしょ、不良なんだし」
「何で不良?」
「名門校で金髪にしてるから」
「なんて単純な発想。でも日下は不良には見えないけど」
「クラスの女子も皆言ってるじゃん」
「確かに言ってるね」
「でしょでしょ?入学二日目で金髪にしてくるなんて、絶対日下君は遊び人でバカでチャランポラン!ってかさ、先生もちゃんと注意して欲しいーーぶっ!」
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