Love Trap

今日は転けなかったが、ブツかった。

「へぇー、加野さんは俺のこと、そう思ってたんだ」

今話題に出していた日下君に。

私は何も言えなかった。
彼の見たことの無い無表情に私はたじろいでしまったから。

「金髪だからって偏見な目で見るのは酷くない？」

顔はいつもの笑顔に戻っていた。

でもどことなく、傷付いているような顔に感じて。

私が未だ何も言えずに黙っていると、私の横をスッと通り過ぎて行った。

私、酷い言葉を投げたかもしれない……。

とりあえず、昨日の席替えで隣の席じゃなくなって良かった。

だって隣だったら、物凄く気まずいから……

「ってかさ、日下って勿体無いよね」

動けないでいたら由香がボソリと呟いた。