Love Trap

17/30
前へ
/30ページ
次へ
「これ見て、思い出すことない?」 「へ?」 怒ることもなく唐突に頭上に飛んできた言葉に顔を上げると、彼は昨日までとは正反対の真っ黒な髪を指差していた。 どうして突然そんなことを? 「……入学式?」 不思議に思いながらも脳内から記憶を引っ張り出した。 私の記憶の中の日下君の黒髪はその一日だ。 「違う」 そのはずなのに、否定された。 入学式じゃない? じゃあ、いつ? 記憶を辿っても、何も思い出せないけど……? 私が必死に脳内を駆け回っていると、彼はどんどんムスッとした顔になっていく。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加