30人が本棚に入れています
本棚に追加
「これ見て、思い出すことない?」
「へ?」
怒ることもなく唐突に頭上に飛んできた言葉に顔を上げると、彼は昨日までとは正反対の真っ黒な髪を指差していた。
どうして突然そんなことを?
「……入学式?」
不思議に思いながらも脳内から記憶を引っ張り出した。
私の記憶の中の日下君の黒髪はその一日だ。
「違う」
そのはずなのに、否定された。
入学式じゃない?
じゃあ、いつ?
記憶を辿っても、何も思い出せないけど……?
私が必死に脳内を駆け回っていると、彼はどんどんムスッとした顔になっていく。
最初のコメントを投稿しよう!