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「ごめんね?勉強だけが取り柄の加野さんに勝っちゃって」
腹立たしい程のにこやかな笑顔で日下君が私の隣で言っているが、今の私は壁に貼られた成績表を口と目を間抜けな程開けて眺めるしか出来ない。
結果は私は二位。
二週間程前まで不良だと思っていた男に一位を取られたなんて。
「日下君ってすごーい!頭まで良いんだねー!」
益々女子にチヤホヤされていく日下君。
苛立ちしかしない。
私は勉強だけなのに……
「私とは話さないんじゃなかったの?」
そんな笑顔で話し掛けてきて、私の悔しがる顔を見たかったの?
なんて男なの?
「そうだったね」
崩れない笑顔の日下君にどんどん腹が立つーーーーはっ!
もしかして、この笑顔も私を苛々させて、平常心を崩させるため?
教科書を忘れたのも、授業中にノートも取らずにいたのも、私を油断させるためだった……?
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