Love Trap

それしか考えられない。
そうとしか考えられない。
気を抜いたらいけない。

この男は私を油断させて一位の座につきたいだけ。

「一生話しかけないで！」

廊下中に聞こえそうなくらい声を荒げて返すと、何故か目の前の日下君の笑顔がどんどん崩れていく。

その顔にどうして良いか分からなくなっていると、

「加野さん、酷すぎー。最初に隣の席になって、少しくらい仲良くなったからってさー」

日下君の横からひょこっと出てきた女子が私を細い目付きで見る。

その直後、その子の前にぬっと出てきた日下君の手。

「あんまり加野さんを責めないで？」

女子を制止させるようなやんわりとした笑顔の日下君。

そして私にそのままの顔の振り向くと言った。