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ここのところ扱いやすい拳銃が急速に普及して、各地で決闘騒ぎが頻発していた。ここも平和な田舎の町とはいえ、港があるから余所者も多く、厄介ごとが持ち込まれた例も少なくない。今回もラングには見覚えのない男に見えたから、恐らく、他所での揉め事が原因であろう。
無論、私闘である。だが、男と男の勝負である。いかにも劇的で格好はいいし、無関係の人間にとっては刺激的な見世物であったから、新聞なんかが面白がって書き立てているのも、調子に乗った乱暴者に軽々しく銃を抜かせる原因になっているようである。
「嘘だろぉ……」
今度は呟いて、ラングは満杯の紙袋を抱えて急いだ。
正直な話、ラングも決闘は嫌いではない。どころか、むしろ大好物である。喧嘩上等の少年時代を過ごした若い男なら誰しもその才能を持っているはずだ、とはラングの説で、マーロの恋人であるカレンはそれをいつも否定していた。そんなもの、いたずらに血を流すばっかりで何も生み出すものがない、ケンカをするならしてもいいが、どうせなら、もっと生産的で健康的な方法でやるべきだ、と、言うのである。彼女が言いたいことは、ラングにもわからないではない。
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