青き時間は長くも短い

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 急に聞き覚えのある音を耳にして、散った心が急速に集まる。戻ってきた認識で、目の前のものを分析するとどうやら人だ。しかも、見たことがないほどの年寄りだ。月明りにも、彼がもったランプの火でも彼のもとの色がわからない。数千年生きている大群青様だって青味が残っていた。彼は一体どれほどの時を過ごしてきたのだろう。 「ああ、ええと、言葉がわかるんですか?」 「もちろん。それどころか、俺はすべての国の言葉を知っているよ」 「じゃあ、宿屋はどこか教えてください」 「宿屋はこの国にないよ、ここには青い少年しか来ないからね」 「では、僕はどこで寝たらいいのでしょう」 「私たちの家に来るといいわ」  突然別の声が聞こえた。何者かと思っていると、男の後ろから女性が現れた。その体の色は、噂にも聞いたことがない雲の色だった。いや、これはそう見えているだけだろうか。今は暗いから、よくわからない。 「やあシロ、ついてきてたんだね」 「もちろんよクロ、だって私たちいつでも一緒でしょ」 「坊や紹介するよ、彼女はシロっていうんだ。それで俺はクロさ、よろしくね」 「あっはい、よろしくお願いします。僕は青です」 「よろしく、それで、坊やは俺たちの家に来てくれるかな?」 「是非とも! いいえ、お願いします」 「うふふ、じゃあ、行きましょ。若い人と話をするのは久しぶりで、楽しみだわ」  僕はレンガに負けないように歩き出した。  到着したのは壁の前だった。二人は扉を開けて、中に入っていく。僕もそれに続くと、そこは異世界だった。
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